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【H3ロケット試験機2号機応援キャンペーン】
「応用気象エンジニアリングは、H3ロケットを応援します」
弊社は種子島宇宙センターにおける気象業務を通じてJAXA次世代大型ロケット「H3」の打上げを引き続き支援して参ります。
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2024年01月12日

【お知らせ】
年末年始にあたり以下のとおり休業とさせていただきます。ご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。
休業日:2023年12月29日(金)~2024年1月4日(木)
※1月5日(金)より通常どおり営業を再開いたします。
2023年12月12日


【採用情報】
正社員を募集中です。詳しくは、こちら(採用情報)をご覧ください。
2023年12月01日


【H3ロケット応援キャンペーン】
「応用気象エンジニアリングは、H3ロケットを応援します」
弊社は種子島宇宙センターにおける気象業務を通じてJAXA次世代大型ロケット「H3」の打上げを支援して参ります。
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2022年12月21日

【お知らせ】
1週間先までの雨雲の動きを予測する「雨雲ウィークリー」 をはじめました。
全国市区町村の天気予報もご覧いただけます。
https://meteorological-curiosity.com/
2022年04月25日

【お知らせ】
AI・機械学習の教師データとして使いやすい、過去の気象データ「AI学習用気象データ」 と、同じ内容・フォーマットのリアルタイム配信サービス「AI予測用気象データ配信」を開始しました。 あわせてご利用ください。
2022年04月04日

【お知らせ】
2022年1月28日にWEB開催された「ゆきみらい2022in白山」の研究発表会で、弊社は、AIを利用した視程低下の自動判別について口頭発表を行いました。

『AIを利用した視程低下の自動判別について』
2022年02月01日


株式会社応用気象エンジニアリング 前代表取締役 髙田吉治著 『風力発電設備と雷-その影響と対策-』(成山堂書店)より まえがき 雷は、気象現象であると共に電気現象である。 昔から高い地物に対しては、落雷による被害が多いのが常識となっている。材質が導体であろうと絶縁体であろうと、高い地物ほど雷を引き寄せる効果は大きい。 落雷による被害は、高電圧、大電流によるものと、それに付帯して発生する瞬間的な衝撃、音、高熱によるものである。 風力発電設備は、平成15年(2003年)頃には単機出力が1500kWを超えるような大型機種が急速に増えてきた。さらに風車のタワーは高くなり、ブレード先端高さが100mを超えるようになってきた。このころ、海外からの輸入機の割合が90%を占めていたが、海外とは異なる日本の特異な気象状況も影響し、雷による被害が多発し始めた。その後、風力発電設備の大型化、高層化によって、特にブレードの落雷による爆裂破損事故が次第に増大していった。 風力エネルギー協会理事会は、平成17年(2005年)に入り、ブレードの雷害事故を放置しておくと、再生可能エネルギーの一つである風力エネルギーの展開に支障を来す恐れがでてきたことを懸念した。 そこで雷対策を含めた雷の実態をまとめるよう、気象学が専門で、高電圧工学に通じた筆者(当時理事)に依頼となった。  本書は風力エネルギー学会の学会誌に“技術連載 雷”を通巻73号(2005年Vol.29 No.1)から通巻104号(2012年Vol.36 No.1)まで8年間、31回に亘って連続掲載した内容を整理したものである。 風力発電設備についての落雷被害は、雷が直撃した場合に大きな被害が発生する。前述のような爆裂破損事故の要因は、雷のエネルギーを受けて、ブレード内の圧力が高まったことによるものであり、結露等に起因する水蒸気爆発も一因と推定できる。本書ではこれらの原因と対策に迫った。 連載後の動きとして、洋上風力発電の導入促進のため、平成25年3月には、日本国内で初となる千葉県銚子市の沖合約3.4㎞の海域にて2.4kW洋上風力発電設備の本格実証運転が開始された。その後、同年6月には日本海側では初となる北九州市の響灘沖(沖合1.4㎞)に設置した2MWの風力発電設備が稼働して、通年の風況予測や海象観測、塩害、落雷、運転保守対策などの実証を行っている。銚子市沖と北九州市沖の設備は、風車の基礎部分を海底に固定した着床式であったが、福島県沖合の実証研究では、浮体式洋上風力発電設備として世界最大級の7MW風車を設置し、洋上風力発電の導入普及に必要な技術および浮体式洋上風力発電のビジネスモデル確立を目指したプロジェクトが進んでいる。また、平成26年4月に発電用風力設備の安全性の審査が、建築基準法から電気事業法へ一本化されるなど、法整備の面でも風力発電の導入促進が図られている。 一方、平成25年冬季に、落雷に起因すると推定される風車破損事故が多発し、事故原因の究明及び再発防止対策が検討されるなど、風力発電設備にはより高い安全性が求められている。 今後、風力発電設備は小型から大型まで広く展開されていくが、雷害を常に考慮した上で適切に対処して行かねばならない。本書では、風力発電設備全体に関わる雷の性質や種類、季節別分類、多発地域、観測方法、落雷被害、落雷対策、避雷対策等についてまとめてある。本書が、風力発電設備の雷対策の一助になれば幸いである。 本書を執筆するに当たり、風力発電の雷対策について必要な事項を示すため、多くの文献、図書、カタログ等から引用させて頂いた。厚くお礼申し上げる次第である。 1. 雷雲 1.1 雷雲の形成 1.1.1 雲の種類 雲は季節や場所、時々刻々と千変万化の形態を示す。雲は国際的な分類である10種雲形(表1.1)という基本形がある。さらに10種雲形を細別した21種、17変種があり、もっと細別したものが31副変種である。この多様性に富む雲の中には、電荷分離と、そうでない雲が存在している。雲の種類として、10種雲形について理解しておきたい。 10種雲形の中で雷が発生する雲は、対流性の積雲が発達した積乱雲である。また、積乱雲は高層雲や高積雲と繋がっている場合もある(図1.1)。 1.1.2 雲粒の形成から雨滴への成長 (1) 大気中の水分 大気中の水分は、水蒸気の形で含まれている。 大気中の水蒸気量は、天候や気温により変化し、大気中の水分が、気相から液相、固相と変化しながら大気中を循環している。 大気中の水分は、通常、絶対湿度と相対湿度で表されている。絶対湿度は1m3の空気中に含まれる水蒸気量を重さ(g)で表わす方法である。 空気は気温が高いほど、多くの水蒸気を含むことができる。また、ある温度で1m3に含むことができる最大の水蒸気量が飽和水蒸気量である。飽和水蒸気量に対し、実際に空気1m3内に含まれている水蒸気量の割合を求めれば、大気の湿潤状態を示す数値が得られる。このように求めた数値を相対湿度と呼んでいる。表1.2のように、1m3 の大気の飽和水蒸気量は、気温によって大きく異なり、気温が上昇すると急激に増大している。例えば、気温が40℃のとき、0℃の飽和水蒸気量の10倍以上水蒸気を含むことができる。また、水蒸気量の代わりに圧力[分圧,hPa]にて表したものが水蒸気圧である。 (2) 上昇気流  雲は、大気中の水蒸気が凝結して出来る小さな水滴の集まりである。雲ができるには水蒸気を含んだ空気塊が図1.2に示すような上昇気流によって上空へ持ち上げられなければならない。図1.2に示す上昇気流によって、空気塊が上空へ持ち上げられることで雲のもととなる水蒸気の状態となる。 ① 収束性上昇気流  空気は周りの高気圧部分から低気圧や、気圧の谷に流れ込む。集まった空気は収束し、収束した気流は上部に向かう上昇気流となる。 ② 対流性上昇気流   大気は下層から上層に向かって一定の割合で気温が低くなる。乾燥空気は断熱的(周囲との熱のやりとりなし)に100m当り1.0℃で気温が低下し、飽和した湿潤空気の気温は0.4~0.7℃で低下する。大気は下層の空気が高温になり過ぎたり、上層の空気が低温になり過ぎたりすると、バランスが崩れて、対流性の上昇気流や、下降気流が起こる。対流性の上昇気流は、夏の雷や、冬の季節風による日本海側の雪をもたらす。対流性上昇気流は、通常1~5 m/s、上昇気流が激しい積乱雲上部は10m/sを超える場合がある。  ③ 地形性上昇気流   図1.2のように風が山岳地に吹き当たると、強制的な上昇気流が生じる。例えば、風速が5m/s、傾斜面が10°の斜面を上昇するときの上昇成分(鉛直方向)は0.8m/sであるが、30°の傾斜面の上昇成分は、2.5m/sと大きくなる。なお、風下には、山岳波と呼ばれる波動ができて、上昇気流や下降気流を伴うことがある。  ④ 前線性上昇気流   図1.2で示しているように、暖気と寒気が衝突すると、前線面ができる。寒冷前線は、寒冷な重い空気が温暖な軽い空気の下にもぐり込み、温暖前線は軽い空気が重い寒冷な空気の上に這い上がる。どちらの前線でも、温暖な空気の上昇気流が起こる。 (3) 水蒸気の凝結 前項で述べたように、水蒸気は上空へ持ち上げられる。大気は上層部ほど気圧が低いため、持ち上げられた水蒸気を含む空気塊は膨張(断熱膨張)して冷却する。そのため、空気塊の温度は下がる。 水蒸気を含む空気塊は、ある高度に達すると水蒸気が飽和(表1.2)し、水蒸気が更に持ち上げられると余分な水蒸気は凝結する。雲粒になるためには、凝結の核になる物質が必要である。 低い雲(水滴)の凝結核は、大気中に浮遊している直径0.1~0.2μm程度の塩粒子(海塩核)、カーボン(燃焼核)、土埃(土壌核)などである。凝結核を基にして出来た雲は、直径10~20μm程度の水滴となる。 (4) 雨滴の大きさ 図1.3は凝結核、雲粒、雨滴の大きさを比較したものである。図のように、雲粒と雨滴では約100倍の差があり、100万個(106個)の雲粒が集まって1つの雨滴を作る。例えば、空気1リットル中の雲粒の数が100万個(106個)程度であるから、空気1リットル中に雨滴は1個しか作られないことになる。 (5) 雨滴の形成 ① 冷たい雨 雨滴がどのように作られるか、最も考えやすいのは、雲粒が衝突し、併合することである。しかし、雲粒が衝突併合して、1個の雨滴を作るには、時間が掛かる。そこで、飽和水蒸気圧(水蒸気張力)の違った雲粒が共存している条件が注目された。 図1.4に示すように、氷点下での飽和水蒸気圧は、過冷却水滴(図では実線)よりも氷(図では破線)に対する飽和蒸気圧が小さい。氷点下の雲の中には、氷晶(氷粒子)と過冷却水滴が共存している。水滴と氷が共存した状態では、水滴が蒸発する中で氷粒子は昇華凝結により、雪結晶として成長する。氷晶が出来るために必要な氷晶核の数は、凝結核に比べてかなり少なく、選ばれた極く少数の雲粒だけが急成長する。 図1.4 過冷却水と氷の飽和水蒸気圧の相違 ただし、大気中に氷晶核物質(土壌核などで黄砂は氷晶核となる)が存在すると、-7~-15℃の過冷却水滴から氷晶が出来る。自然の氷晶核は、-20℃程度の大気中では空気1リットル中に1個程度しかなく、過冷却の雲から氷粒子は非常に作られにくい。しかし、一旦過冷却の雲の中に氷粒子が出来ると、非常に早く大きな氷粒子に成長する。雪結晶が昇華凝結過程により成長するとき、直径が50μmの水滴相当の質量の雪結晶(タイプにもよるが雪結晶としてはかなり大きい)に約100秒で成長する。 成長して大きくなった雲粒は、小さな雲粒の間を落下するため、擾乱の中で雪だるま式に成長を続け、短時間で雨滴まで成長できると考えられている。 更に雪結晶に過冷却水滴がついて凍結すると、落下速度が大きくなり、ますます過冷却水滴との衝突併合が起こりやすくなる。その程度に応じて、雲粒付雪結晶、あるいは霰として成長する。   水滴の場合には水滴の粘性、表面張力の関係で、大きくなると球形を保つことが出来なくなり分裂してしまうが、氷粒子は、併合することにより、直径数cmもの雪片にまで成長することが出来る。発達した積乱雲では大きな雹も形成される。 ② 暖かい雨 熱帯地方などは、氷点下でない雲からも降水が生じる。このような降水を暖かい雨と呼ぶ。暖かい雨は、大きさの違う雲粒が存在する条件で発生する。図1.5は、雲の上部から降下する水滴が、落下速度の小さい小さな水滴と衝突・併合しながら成長するイメージを図にしてある。しかし、雲粒の大きさの違い(落下速度の違い)による併合成長の速度は、氷晶と過冷却水滴とが共存する場合(冷たい雨)に比べて、ずっと小さい。ただし、上昇気流が強い熱帯の雲では、衝突・併合作用が長い時間続くので、雨滴まで成長すると考えられている。 上昇気流が強い雲の中での衝突・併合作用により、3m/sの上昇気流が存在する雲底から2.4kmの積乱雲内において、大きさ20μmの雲粒が2.5mmの雨滴にまで成長するという試算がある。 (6) 雨滴の成長 大きな雲粒が小さな雲粒を併合し、成長することは、雲の厚さと雲の中の上昇気流の強さに依存している。背の高い雲、上昇気流の激しい雲では、衝突・併合作用が長時間続くため、大きな雨滴へと成長する。 大きな雨滴への成長の典型例は、雹である。雹は凍結しているため大きく成長したまま落下する。凍結していない雨滴は、直径が大きくなるほど落下速度を大きくし(図1.6)、2~3mmの直径になると落下途中の衝突で分裂しやすくなる。 1.1.3 雷雲の種類と構造 雷雲は、雄大積雲や積乱雲などが電荷を帯びて放電するようになった状態で、電光,雷鳴,激しい雨または雪,雹をもたらす雲である。 雄大積雲や積乱雲は、成長し雲が厚くなって雲内で降水形成が始まると、雲粒子(雲粒、氷結晶)と降水粒子(雨滴・雪・霰・雹)との間で正電荷、負電荷の分離が始まる。この時、通常雷放電を起こすまでには至らないが、積乱雲のように擾乱が激しいと電荷の発生と分離が極めて大きいため、空気の絶縁を破壊し放電を起こす。 夏季の雷雲は、圏界面まで達し、12~16kmの高度にまで発達することが多い。 一方、冬季の寒冷な季節風によって生ずる日本海上の雷雲は、背が低くて高度は3~6km程度である。日本海側地方では、大雪が降る前や降っている最中に雷が鳴り、これを雪雷または雪起こしと呼ぶ。 雷雲は、何れの場合も、雲頂の気温は-20℃以下であることが多く、強い上昇気流が存在している。 (1) 雷の種類  ① 熱雷(気団雷)   熱雷は、地表付近の湿潤な空気が夏季の強い日射によって熱せられたり、上空に冷たい空気が入り込むことにより大気が不安定になることによって起こる。特に、地形が複雑な山岳部では、斜面により暖められやすいため、平地より強い上昇気流が生じやすい(図1.7)。また、熱雷は夏季の太平洋高気圧などの気団内で生じるため、気団雷とも呼ばれる。熱雷は、一つの積乱雲に伴うのでその範囲も狭く、10~20km位である。雷雲は、谷や川筋に沿って移動する傾向がある。 図1.7 熱雷の発生  ② 界雷(前線雷)   界雷は、温暖な気団と寒冷な気団が接する寒冷前線付近で発生(図1.8)し易いため、前線雷とも呼ぶ。界雷は年間を通じて起こり、雷雨の中でも最も激しいもので、寒冷前線の移動に伴って広範囲に生じ、雹を降らす事もある。界雷は温暖前線による雷雨も起こるが、寒冷前線によるものと比べると、激しくはない。 図1.8 界雷の発生 ③ 熱界雷 熱界雷は、熱的界雷とも呼ばれ、熱雷と界雷の原因が重なったものである。熱雷が生じている時に寒冷前線が通過する際、上空の冷気が不安定な気層を形成するだけでなく、冷気が地表付近に流下するため、地表付近の熱せられた空気が猛烈な上昇気流となって雷雲を成長させる。夏の激しい雷雨は多くが熱界雷である。熱界雷の積乱雲群の移動に伴って生じる猛烈な雨と落雷は、大きな災害をもたらす。 ④ 渦雷(低気圧雷)   渦雷は、発達した低気圧や台風の中心付近に、強い上昇気流があるために積乱雲が発達し、雷が生じる現象であり、大雨を伴うことが多い。 ⑤ 山岳雷   山岳雷は、地形の影響で生じる雷の一つで、湿潤暖気が風により、山岳斜面を這い登るように移動・上昇することにより、また、山頂から下降する冷気によって、更に湿潤暖気が押し上げられようとする界雷のような仕組みで上昇気流が発生し、雷雲を形成する。また、山岳雷は山岳斜面への強烈な日射によって熱雷のように上昇気流が発達し、雷雲を形成させるものもある。 ⑥ その他の雷   火山の噴火や爆発、または大規模な火災等によって起こる噴煙(エ-ロゾル)や、上昇気流による雷雲が形成される場合がある。 (2) 雷雲(積乱雲)の構造 雷雲は構造を調べると、複数の上昇流域と複数の下降流域で構成されていることが多い。雷雲の構成要素は個々の上昇流や下降流を、対流セル(あるいは単にセル)と呼んでいる。対流セルは断面積が、10~100km2程度で、降水域と1:1で対応している。したがって、降水域はレーダーで容易に特定できる。 雷雲全体は、複数の対流セルで構成されているため、雷雲全体の挙動はさまざまである。  雷雲の寿命は、単一セルで30分~50分であることが多い。雷雲の一生は、鉛直流の強さと方向を目安に、発達期(成長期)、成熟期、減衰期(衰弱期)の三つに分けられる(図1.9)。激しく発雷が生じるのは、成熟期である。 図1.9 積乱雲の一生 4)に加筆 ① 発達期(成長期) 雷雲は、対流が発達すると、地上風が雷雲に向かって流入し、上昇流は時間とともに強くなる。上昇流の最も強い部分は雲の上部にある。また、雲の中の温度は周囲より高く、強い上昇流のため降水粒子は、落下できないため、地上では雨にはならない時もある。発達期の継続時間は10~30分である。当初1~3kmであった対流セルの直径は10km程度まで成長し、雲頂は8km~10kmに達する。 ② 成熟期 雷雲は上昇流の強さが極大を過ぎる頃には、たくさんの降水粒子が形成され落下する。強い降水は、下降流を形成するため、発達期の強い上昇流は弱まり、上昇流と下降流が共存する。上昇流は、下降流の領域に隣接して、引き続き存在する。最も強い上昇流は、成熟期の初期に生じ、上昇速度は、局所的に30m/sを超えることがある。成熟期は、通常15分~30分継続し、雲頂は十数kmに達する。 ③ 衰弱期(減衰期)   雷雲は雨を降らせ、上昇流はなくなり、下降流だけになる。雷雨から流れ出た冷気は、遠くまで広がることで、温かく湿った下層空気が、上昇流への流入を遮断する。上昇流は、下降流が最盛期を迎えるころまでに消滅する。 雲中の温度は、各高度において、雲外よりも低くなり、衰弱期の対流セルの雨粒は、時間とともに減少し続け、地上での降水も減少する。衰弱期の雷雲は、20分ほど続き、下降流の弱まりで、地上風の発散も弱まり、成熟期に上昇した地上気圧も徐々に元に戻るようになる。そして雷雲はその一生を終える。 積乱雲の鉛直流は、通常、観測出来ないので、レーダーで見た強雨域をセル(レーダーエコーセル)と呼んでいる。図1.10は積乱雲の発達過程とレーダーエコー強度を示している。図より、レーダーエコーは、積雲が発生して10分くらいすると雲の頂上部に弱いエコーが現れ、次第にエコー域が広がっていることがわかる。また、積乱雲は上昇流が強くなり、レーダーエコーの強い部分は、頂上部の近い所にある。  約20分後の積乱雲は、降水粒子が成長して落下し、強いレーダーエコーは、時間とともに下がり約30分後、雲の下部のみとなる。 図1.10 雲のレーダーエコ-セルの一生 5) 実線はエコー強度の等値線をdBzで、矢印は、主な流れを示す。 (3) 巨大雷雨 ① マルチセル型巨大雷雨  この雷雨は、複数の対流セルから出来ている点は、熱雷と同じである。しかし、マルチセル型巨大雷雨は個々のセルが、図1.11のように積乱雲の南側で発生し,中層の風に流されながら、発達から衰弱の過程をたどり、規則正しく配列している。   図1.12は、マルチセル型巨大雷雨(ストーム)と一緒に移動する座標系から見た図1.11の南北方向の断面図である。個々のセルは図1.12の右の方で生まれ、左に動きながら発達・成熟・衰弱の一生を終わる。セルは、30分から1時間で消滅するが繰り返しセルが発達するため、全体としては長時間続くことになる。 a:積乱雲に相対的な対流圏下層の風(VL)と、対流圏中層の風(VM)を、b:15分間隔に描いた積乱雲全体のエコーを、外側の大きい実線で、個々の対流セルを記号の付いた小さな楕円で示した。 図1.11マルチセル型巨大雷雨の移動と発達の模図 6) 「雷雨と共に移動する積乱雲の南北方向の断面。降水セルはn-2、n-1、n、n+1の順で発生発達。実線は移動中のストームに相対的な流れである。ただし、この流れは3次元的で、紙面に直角に入り込む流れや紙面から流れ出ていく流れもあり、その部分の流れは破線で示している。3段階の濃淡は、濃いものから、50,45,35 dBz のレーダーエコーである。」 図1.12鉛直ウィンドシアーがある程度強い場合に形成されるマルチセル型雷雨の構造事例 4)5) 図1.12を詳しく解説すると、図は4つのセルから構成されている。図は右側ほど新しいセルとなっていて、”一つの対流セルの一生を現わす”と見てもよい。この場合、新しい対流セル(n+1)は、ガストフロント(対流セルから地表面に沿って流れ出た冷気と元からあった空気が衝突する小規模な寒冷前線のこと)の前面で作られ、図の左側に移動していく間に、発達期、成熟期、衰弱期を経て消滅していくと解釈すればよい。 図の(n+1)と(n)は、発達期の対流セルで、対流セル全体が上昇気流である。 降水粒子は、上空で成長するが、上昇流に支えられて、落ちない。 (n-1)は、成熟期のセルで、雲頂は最高高度、下層に下降流、上層に上昇流があり、雹を含む強雨も見られる。 (n-2)は、衰弱期のセルで、弱い下降流で弱い降雨である。 ② スーパーセル型巨大雷雨  スーパーセル型の積乱雲は、1個のセルが長時間持続する場合に生じる。マルチセル型と違う所は、上昇流と下降流が3次元的にねじれ、一つの循環系を構成していることである。   スーパーセル型は、上昇流が最も強い場所で降水粒子が飛ばされ、ノーエコー域の存在や、前方上空に突きだしたエコーが特徴である。 図1.13は、典型的なスーパーセル型の積乱雲を示したものである。 図1.13 スーパーセル型ストームの断面図 5) Browning et al.,1976   ①のマルチセル型やこのスーパーセル型ともに重要なのは、一度雷雲が構成(組織化)されると、その雷雲の下降流から上昇流を形成し、新しいセルを生み出すことである。すなわち、強い下降流からは強い上昇流が形成され、雲が発達することで、再び強い下降流、上昇流が生じるという、正のフイードバックが働いている。このように、組織化した積乱雲は、自己励起的であり、次々に自己増殖するといわれている。 1.1.4 雷雨発生時の状況  現在に至る観測より、多量の過冷却水滴や、氷晶の集団が、気温が-20℃以下になる高度まで運ばれる時に、雷鳴や電光が発現することが示されている。  このような温度における水分の多量の集積は、空気がはじめに暖かく、湿っていたかどうかということで決まる。したがって、大気下層に暖かく湿った空気が無い場合は、雷雨が観測されることはまれである。 また、雷雨発生時は上昇気流が十分に大きいと、凝結した大量の水分が高高度に運ばれるため、非常に厚い雲層となり、気温減率(断熱減率)が大きい場合は雷雨が発達する。発達した積乱雲の下では、夕方のように暗く、激しい雷雨となり、ときには雹がふる。雹は5~6月に多く、気温が高くなる盛夏は少ない。雷雨時は大雨や雷の他、強い下降気流による地表付近での突風や竜巻が発生し、被害をもたらすことがある。 雷雨の範囲と持続時間は、単一の積乱雲の場合、20km程度の範囲で、持続時間は約1時間である。スーパーセル(巨大積乱雲)は、30~50kmの範囲で数時間持続する。 また、積乱雲が群をなす場合、雷雨の範囲は長時間、広範囲となる。  強い上昇気流の雲は、凝結による水滴の生成が活発なため、雲水量が多く、降水強度も強い。 最盛期の雷雨セルは、図1.14のように吹き下った冷たい下降気流が地面を四方に広がる。セルの前面は、非常に大きい風の息(風速変動)をもつ強風となっている。この強風は初めにピークガストを生じることが多く、ファーストガストとも呼ばれている。これは、ダウンバーストとも呼ばれる強力な下降気流である。ダウンバーストに関連して起こる風向変化量は、発生前に卓越していた風向や、雷雨セルの位置及び雷雨セル自身の移動方向によって変わる。 図1.14 ダウンバーストのモデル断面図 7) 1.1.5 雷の地域分布 雷日数は、ある地点で雷(電光、雷鳴)を観測した日数であり、気象庁の各気象台で雷の観測を行っている。気象台は、都市部や市街地に多く、山間部等には少ない。日本で雷が多い場所は北関東、中部山岳地帯、中国山地、九州内陸部と南部、青森県から福井県までの日本海側である。 雷は日本の場合、日本海側を除くと、夏の午後から夕方に掛けての雷が多く、大半が熱雷とみられる。雷は日本海側では北陸地方を中心とし、夏季以外に、初雪が降る11月後半から、3月前半にかけて、冬季雷と呼ばれる雷が多く発生する。シベリアからの寒気と、暖かい日本海がつくる不安定な気象条件のもとで、海上に発生する雪雲からの雷で、熱雷の一種といえる。冬季雷の落雷の分布は、ほぼ海岸線に平行に分布している事が多い。図1.15は、IKL(Iso Keraunic Level:等雷雨日数線、図1.16)や地形状況から、概略の雷発生地域を求めたものである。 海上における落雷は、海岸線から沖合い約100~150kmまでの範囲で分布している。日本海における落雷は対馬暖流によって対流性雲(雷雲)が発達する範囲である。 雷雨の経路は、榛名コース、赤城コース、日光コースなどと呼ばれるが、関東北部の夏の雷雨の移動は、高度3000m前後(700hPa前後)の上空の風と対応する事が多い。詳細な季節別の雷発生地域と移動コースについては、今後調査の必要がある。  夏の雷雨は、関東地方では時速10~20kmで、東または南東に移動するものが多い。夏の雷雨の移動距離は約20~40kmとされ、気象条件により、伸びる場合がある。 世界の雷は、東南アジア、中央アフリカ、中米、南米北部で雷日数が多い。これらの地域は、3日に1日の割合で雷が発生している。雷は一般的に、陸上に比べて海洋上の雷活動は不活発である。例外的には、日本海と同様に、ノルウェーの大西洋側では、冬季雷が多い。 1.2 雷の電気的特徴 1.2.1 電荷の発生・分離機構  雷雲内の電荷分布を、模式図的に示したものが図1.17である。図1.17にあるように、-10~-20℃層に負の電荷、その上に正電荷が広く分布し、負電荷の直下に局所的に正電荷(ポケット正電荷)と言う三極構造が一般的である。中層の負電荷と下層の正電荷は、強い降水域と対応している。  上層の正電荷の担い手は細かい氷晶、中層の負電荷は霰、雹などの降水粒子、下層の正電荷は霰や雹が融けるために起きると考えられている。  図1.18のように中層の負電荷は、-10℃層付近にとどまり、上層の正電荷は時間とともに上空へ移動すると言う説もある。 図1.17 雷雲内の電荷分布モデル 9) 図中の6角形は氷晶、三角形はあられ、黒は正電荷、白は負電荷を示す。 図1.18 -10℃層での負電荷の蓄積される機構 10) 一方、温度が-10℃より高い場合は、帯電の極性が逆転し、霰は正に帯電し、氷晶は負に帯電するため、融解層の直下の小領域が正に帯電する。 現在最も有力な理論として受け入れられている着氷電荷生成理論は、着氷が発生するときに、それに伴って電荷が分離されるというものである。高橋劭は、室内実験で氷電荷性生成理論を確かめ、更に野外実験で自然条件の下で確認した。その結果、雷雲内で雷放電を起こすに十分な電荷を分離、蓄積できることが確認された。この理論の中の着氷とは、気象学用語で、物体に氷が付着することである。雷雲や対流雲の中での着氷は、過冷却の水滴が氷結して霰に成長することであり、このメカニズムによって正負の電荷が生成されるというものである。 現在、この着氷電荷生成が最も有力な理論として受け入れられている。 1.2.2 雷放電 (1) 雷放電の種類 雷放電は、雲の中の空中で起こる雲間放電(雲放電)と、雲と地表との間で起こる対地放電(落雷)がある。災害をもたらす雷放電は、落雷がほとんどである。 雲放電には、次の3ケースがある(図1.19)。 図1.19 雷放電の種類 5) ・一つの雷雲内の正と負の電荷間で放電する場合(図1.19 ○A)。 ・異なった雷雲の正負電荷間で放電する場合 (図1. 19 ○B)。 ・雷雲から放電路が雲外に進展する大気放電を行う場合(図1. 19 ○C)。 各雷雨における全放電数に占める落雷の発生割合は、個々の雷雨によりばらつきが大きいが、平均的には40%程度である。 また単位時間当たりの放電数が多い活発な雷雨ほど落雷発生割合が高い。 (2) 落雷の放電過程   落雷は、夏の落雷は負極性で下向き(上空から地表に向かう雷)、冬の落雷は正極性で上向き(地表から上空の雲に向かう雷)の割合が高い。  落雷の回数は、負極性のものより正極性の方が少なく、落雷によって発生する地上の電気量は、正極性落雷の方が大きく、被害が大きい。 地表における落雷現象は、負極性も正極性も同じである。ただし、正極性落雷は枝分かれしない根本での放電現象であるため、電気量が大きい。 落雷は、電光と雷鳴の他、電波などを伴う。電光は、電位傾度が強くなると、大気中のイオンが空気分子に衝突し、これを破壊する際に起きる発光現象である。このとき、熱を発し、急激に空気が膨張する。膨張した空気は、10気圧以上の衝撃波が雷鳴となる。雷鳴がゴロゴロと轟くのは、長くジグザグした放電路の各部で起きた音が観測者に達するまでの時間に差があるためである。 落雷時に発生する電波は、一種のアンテナとみなす放電路に電流が流れるために発生する。放電路の形状が複雑で電流も一定ではないため、放射される電波の強度と、周波数も複雑で、数Hzから数百メガHzの広い範囲に及んでいる。落雷の放電過程をモデルにより示すと図1.20の通りとなる。雲内で開始した放電が間欠的に進展し、およそ20msかけて大地に到達している様子を表している。この間欠的進展をステップトリーダと呼ぶ。負極性の雷の大地への放電過程を段階別に図1.21に示した。 まず、雷雲中の負電荷とその直下に位置するポケット正電荷との間で、局所的な先行放電が始まる。 これに続いて階段状に先駆放電(ステップトリーダ)が雲から地表に向かって降りてくる(図1.21①-③)。先駆放電が地上数十mに達すると、通常、地面から上向きの先駆放電が伸びていき、両者が結合すると雲から地表への放電路が完成し、明るく光りながら一気に上向きの放電が起こる(図1.21④)。放電は、放電によって雲内に電荷がなくなると、まず終わる。雲内に、まだ十分な電荷が残っている場合は、次の先駆放電が始まる(図1.21⑥)。このとき、先駆放電は、以前のように階段状にはならず、一本の矢のような形で始まる(ダートリーダ)。雲内の電荷が十分中和されるまで、先駆放電と帰還雷撃とが繰り返される多重雷撃が生じる。  先駆放電の進行速度は、秒速数百キロメートルであるが、帰還雷撃は光速の約1/3と言う高速度で進行する。一回の雷撃で中和される電荷量は、数クーロンであり、多重雷撃の場合は、一連の雷撃で20~30クーロンが平均的な値である。 図1.20 落雷の放電過程(先駆放電と帰還雷撃)2) 図1.21 下向き負極性落雷の放電進展過程5) 1.2.3 雷の電気的性質 ① 落雷時の雷撃電流 落雷によって大きな被害をもたらすのは、雷撃電流である。雷撃電流の測定は、雷雲から大地へ向かう方向を正にする。したがって、雷放電時に雷雲内で消滅する電荷の極性は、雷電流の極性に一致する。主として、雷撃電流は、雷雲下部の負電荷により、大地電撃が生じるので負極性の雷が多くなる。正極性の雷も生じるが、夏期の割合は少なく、日本では、特に北陸地方において、冬期には正極性雷の割合が多くなる。   電流の波高値は、大きいもので200kA,普通は20kA程度のものが多い。冬季雷では、400kA以上になる事例がある。また雷撃電流の継続時間は、長いもので数百ミリ秒である。 ② 雷雲と大地間の電圧   雷雲と大地間の電圧は、雷雲全体の形状、内蔵されている総電荷量、その領域と大地までの高さ、大気の条件等が分かれば計測できるが、これらが時々刻々に異なるため、計測はかなり困難である。落雷時の電圧は、測定できないためはっきりしていない。落雷時の電圧は、いくつかの文献によると、1億V(10万kV)から10億V(100万kV)という数値が示されている。実験室の球ギャップの放電電圧は、1cmあたり30kVであるが、先端が尖った電極間の放電電圧は、この値の1/2から1/3と言われている。 ③ 落雷時の電力と電気量   落雷時の電気量は、電流と継続時間の積で表わされる。例えば、電流を200kAおよび継続時間を100?として積算すると、20C(クーロン)となる。 200×103×100×10-6=20C 通常1回の雷撃による電気量は、夏季雷では、0.2~20Cと言われている。しかし、冬季雷では、波尾長が長くなり、3.5~1.0×103Cにもなる。 落雷点の電圧を10万kV(1億V)と見積り、電流を200kAとすると、電力=電圧×電流であるから、   10×107×200×103=2×1013W=200億kW と言う膨大な電力となる。   電力量=電力×継続時間(秒)/3,600(秒)であり、落雷の継続時間を80?とすると、約400kWhとなる。   継続時間が短いために、電力量に換算すると、それほど大きな量とは思えないように見えるが、これは1回の落雷による電力量であり、何回も落雷を起こす量を計算していくと、相当な電力量となる。 ④ 雷のエネルギー エネルギーとしては、平均電力量400kWh程度であるから、家庭で500Wを毎日10時間使うとすると、80日分に相当する。夏の激しい雷雲では,10秒に1回位の雷放電が起こるので、雷雲内では中規模クラスの発電所の能力があることになる。 ⑤ 雷の温度      放電路の温度は、帰還雷撃では20,000~30,000Kとなると言われている。 ⑥ 大気の地上電界強度 大気の電界強度は、晴天日100V/mであるが、電荷を持つ雲が上空を通過する時には、数百V/mとなり、次第に雷雲が発達して上空に達すると電界強度は1,000V/mを超える。発達した雷雲の下では5,000V/m、周辺に落雷が始まると電界強度は5,000V/m~30,000V/mに達する。直撃雷が生ずる時は50,000V/mになる。 1.3 冬季雷 1.3.1冬季雷の発生地域 雷は夏空にそびえたつ入道雲(積乱雲)とともに夏というイメージがある。しかし、冬期、日本海側に発生する雷は、夏の雷と異なった性状を有しているため冬季雷と呼ばれ、夏に発生する夏季雷と区別されている。 冬季雷は、日本海沿岸の広範囲で多発している。気象庁資料より、全国101箇所(一部島嶼を除く)の気象官署・測候所の雷日数を冬期(10月~3月)、夏期(4月~9月)に分けて30年平均として図1.22に示した。 図1.22雷日数の季節変化(統計期間:1971~2000年) 11) 夏期(4月~9月:図1.22の赤マル)に注目すると、北関東の宇都宮が22日間で全国最多となり、全体傾向としては、九州で雷日数が多い。一方、冬期(10月~3月:図1.22の菱印)では、深浦(青森県)から酒田(山形県)の東北地方日本海側、相川(新潟)から敦賀(福井)の北陸地方日本海側で雷日数が多くなっている。年間を通してみると、冬期に雷日数が多い金沢の雷日数が年間37日間を数え、全国で最も雷日数が多い。また、年間の雷日数が30日を超えているのは、金沢、酒田、高田、輪島、福井、新潟、敦賀の7か所で何れも日本海側の観測地点であり、冬期に雷日数が多い地点で記録している。 図1.23では、冬季雷の発生地域は日本海岸全域にわたっているが、落雷による事故や被害は、海岸線から30kmまでの内陸部に多発している。 全国的な冬季雷の分布に関して、冬季雷に対する対策を優先的に考慮すべき地域を「雷対策重点地域」として指定した「落雷リスクマップ」を図1.24に示した。 1.3.2 冬季雷発生時の気圧配置 冬型気圧配置は、シベリアで形成された寒気団が北西季節風として日本海の上を吹送する。このとき日本海上は対馬暖流が北上し、海水面は比較的暖かくなっている。図1.25に示すように、寒冷な空気が日本海の海水面上を流れると、多量の水蒸気が蒸発し、大気中に熱と水蒸気を供給することで、対流雲となり、積乱雲に発達する。積乱雲は沿岸で発雷したり、山岳部にかけて雪を降らせたりする。また、脊梁山脈を境にして、太平洋側には乾燥した「からっ風」が吹く。図1.26は日本上空の雲画像であり、筋状に連なった積雲が発達し、日本海側沿岸に到達している。 図1.25 冬型季節風時の日本海上における気団変質 14) 図1.26 冬型気圧配置の吹きだし 15) 発達した積乱雲は、強い雪やあられを降らせることも多い。特に、図1.27の日本海上空に寒気が入りこんだ「里雪型」の地上気圧配置は、小規模低気圧が上陸したりして、平野部を中心に大雪となり、“雪起こし“といわれる落雷が生じる。 北陸では、シベリア大陸から南下する500hPa上空の-40℃前後という寒気が、日本海中部に入ると、里雪型になったり、寒気が北日本方面に進むと、山雪型になる。 また、日本列島を低気圧が通過し、それから伸びる寒冷前線が通るときは、強い雷が発生する。その後、この低気圧は、日本列島のはるか北東海上で猛烈に発達し、日本には強いシベリア高気圧が張り出し、日本海側に積乱雲を発生させる。この冬型気圧配置が続く2~3日間はところどころで雷雲が発生する。 その一例として、平成17年12月25日21時の地上天気図を示した(図1.28)。この日は寒冷前線の通過により積乱雲が発達し、広い範囲で落雷と強い降水が生じた。さらに寒冷前線の通過時である19時15分には、突風のためJR羽越線で脱線事故が発生した。そのころ、近傍の国道7号線の防雪柵が飛散したり、防風林の黒松が折れたりした。 寒冷な冬では、日本海側沿岸地域で積乱雲の発生が多くなり、落雷現象が増える傾向になる。 図1.28日本海側は寒冷前線通過中(雷雲発達) (平成17年12月25日21時地上天気図) 15) 1.3.3 冬季雷の雲構造・放電特性 (1) 雷雲の構造 冬季の雷雲は夏季と同様に、雲頂から雲底に向かって+,-,+の三極構造である。しかし、三極構造は夏季雷雲中に定常時に存在するのに対し、冬期は著しく短く、初冬、晩冬期で10数分程度、厳冬期では数分程度雲中に滞留するだけで、急速に落下、消失する。 雷雲の電荷分布モデルを図1.29に示している(この図では、夏季、冬季の雷雲の鉛直断面を共通の温度高度を用いて示している)。 夏の積乱雲と異なり、冬季に出来る雲の構造は、次のようになる。 ・対流性雲(積雲)が水平方向に大きく広がっている。 ・雷雲の雲頂高度は4~6km程度と夏の積乱雲の1/2~1/3ぐらいと低く、平たく広大に存在する。 ・大気下層の気温が低い。 ・広く分布する積雲群の大雲海の中に、ところどころ積乱雲が点在しており、この中に雷現象を伴う雷雲がある。   図1.29 夏と冬の雷雲の電荷分布を示すモデル  (+:正電荷 -:負電荷) 14) (2) 放電特性  冬季雷と夏季雷ではこの節の冒頭で述べたように性質が異なっている。冬季雷と夏季雷の放電特性の比較を表1.3に示している。また、冬季雷の放電特性の特徴をいくつか取り上げている。 ① 一発雷 冬季雷は,夏季雷に比べて、雷の放電数が少なく、放電時間が長い。 冬季雷は観測される雷雲の寿命が夏季雷と比べて短く、突然発生し、その後十数分間も中断状態が続くため、「一発雷」と呼ばれ、雷の接近を検知することが難しい。 ② 正極性落雷 夏季雷は、全落雷数のうち、正極性落雷は10%程度であるが、冬季雷では、正極性落雷がおよそ40~60%に増加するといわれている。冬季に正極性雷が多くなる理由は、これまで「冬季には上層ほど季節風が強く雷雲が傾き、雷雲上部の正電荷が直接大地に向かい合う形になるため、正電荷群からの放電が起こりやすい」と考えられてきた。しかし、近年「冬季雷雲の上昇流が弱いため、雷雲下部の負電荷が早く地面に落下することにより、残された上部正電荷のみが大地と対抗するという、冬季雷雲の単極構造が原因である」という考えが提唱されている。 ③ 上向き放電で開始する雷 夏季雷は、超高構造物への落雷を除いては、雲から下向きに地上へ放電路が分かれている(下向き雷が殆どである)。一方、冬季雷は雷放電が地上の構造物の先端から発生、展開していく「上向き雷」(トリガート落雷とも言う)が多い。地上における落雷現象としては同じであるが、上向き雷は、雷放電が枝分かれする前の根元における落雷現象である。上向き雷は電荷量が大きく、風車発電機のブレード先端や鉄塔、高層建築物などから雷雲に向かって放電を開始する(図1.30)。 図1.30 上向き放電の雷 ④ 多点同時落雷 冬季は数百msの短時間内に数百mから数km離れた数箇所で、同時(一秒以内)に落雷が生じることが多い。この現象は夏季にも見られるが、冬季は夏季に比べて相対比率が高い。 ⑤ 高構造物への落雷の集中 冬季の上向き雷の多くは、煙突や高い構造物から発している。上向き雷は、雷雲の雲底が大地に極めて接近し、大地付近の電界が強くなり、静電誘導現象により、雷雲と逆符号の電荷が構造物先端に集中し、電界が強まって周辺より放電が起こり易くなるからである。この現象は冬季に限ったことではないが、夏季に比べて相対比率が高い。 北陸電力福井火力発電所の高さ200mの煙突は、7年間で冬季に174回落雷しているが、夏季は1回のみという観測結果がある。この地域の雷日数は夏季(4~9月)と冬季(10~3月)で大きな差はなく、冬季は上向きの雷が多くなることが原因と考えられる。なお、落雷は風上側の高構造物に集中する傾向がある。 ⑥ 電荷量が大きい 冬季雷は、雷電流の継続時間が長いものが多い。冬季雷の電荷量は夏季雷の10倍から100倍にもなり、1,000クーロンを超えるものがある。なお、電流波高値が200kAを超える落雷や100クーロンを超える電荷を中和する落雷がスーパーボルトとされている。スーパーボルトというのは、人工衛星の記録の解析から、冬季日本付近の上空で、光エネルギーが通常の雷放電より1~2桁高い特異な電光を見出され、命名されたものである。 ⑦ 水平放電路 冬季雷の放電路は、水平方向に長く伸びるものが多い。冬季雷の放電路は、時には雲底をかすめるように地表に平行に4km近く伸びるものが観測される。放電路が地表面に長く平行に進む理由については解明されていない。 1.3.4 冬季雷の増加と地域環境 (1) 近年の雷日数の傾向 図1.31は、金沢を例とした1950年から2010年までの10年平均の雷日数である。この図より近年、北陸地方の雷日数は、10~3月の冬期に雷が増加している。 図1.31 金沢における雷日数の推移 11) (季節別10年平均雷日数) 雷日数の増加は、雪雲の発達過程と合わせて考えると、降雪量の増加が想定される。しかし、近年は少雪傾向であり(図1.32)、降雪量との直接的な関係は見られない。それでも、寒冷多雪であった『平成18年豪雪』時の雷日数は多く、金沢での平成17年12月の雷日数は、月間18日を記録した。 図1.32 降雪量の年変動(1953年~2009年:金沢)11) (2) 落雷の季節特性 夏季の積乱雲は、上昇気流と対流不安定な条件が整うことで、雲頂高度は約1万mの圏界面まで達する。高い雲頂高度は、電荷分離過程に重要な‐10℃レベルを含んでいる。一方、冬の積乱雲は、雲頂高度が低く、地上気温も低い。そのため、冬の積乱雲は雲内で電荷分離が有効に行われるかどうか、雲の発達状態や、周囲の成層状態によって異なる。 冬季雷が多発する時期は、緯度の高い北海道では10月である。季節の進行とともに低緯度に移動し、酒田で11月、新潟以南は12月に落雷のピークを迎える(図1.33、表1.4)。 また、北海道中北部(稚内、留萌)では、厳冬期(1~2月)には雷がない。これは、厳冬期の北海道は、地上付近が-10℃近くに下がり、雲内での電荷分離が不活発になるためである。 (縦軸:年間に占める月雷日数の割合。) 図1.33別雷日数のピーク月の地点別出現状況 11) 表1.4月別雷日数(1971~2000.30年平年値) 地名 10月 11 12月 1 2 3 年 稚内 2.8 1.0 0.5 0.0 0.0 0.1 9.7 留萌 3.9 1.9 0.4 0.1 0.1 0.1 13.0 札幌 1.6 0.7 0.4 0.2 o.2 0.4 8.3 寿都 3.2 1.7 0.4 0.2 o.1 0.2 11.1 江差 3.0 1.9 0.8 0.3 0.3 0.4 14.0 秋田 5.0 4.8 4.4 1.8 1.2 1.0 29.4 酒田 4.8 6.2 5.7 2.5 2.0 1.4 36.0 輪島 3.2 5.6 5.7 3.5 1.8 0.9 32.7 新潟 2.9 4.3 4.9 4.1 2.6 1.1 30.5 高田 2.3 4.0 5.8 4.9 3.2 1.5 35.7 金沢 2.4 4.9 7.2 5.9 4.3 1.3 37.4 富山 2.2 3.2 3.2 2.8 1.3 0.6 29.4 敦賀 1.3 2.4 4.8 5.0 2.8 1.1 30.2 鳥取 1.0 2.1 3.6 2.1 2.0 0.8 24.9 ○網掛けは、冬期10月~03月の間の月別最大値 11) (3) 気温と海表面水温の関係  冬期に日本海を通過する大陸からの乾燥した寒気は、日本海から熱と水蒸気の供給を受け、雲を形成する。雲の形成・発達は、海面水温と関係すると考えられるので、図1.34に示した気象庁旬別海面水温分布図より、日本海側3点(酒田、金沢、鳥取)の海面水温を読み取り、雷との関係を調査した。 図1.34旬別海面水温分布図の例 15)に加筆 図1.35は、平成17年~平成19年度の3年間の旬別気温を平均した図である。この図より3地点の平均気温は同じ傾向を示し、1月下旬から2月上旬にかけて最低気温を記録しているのがわかる。また、図1.36の海面水温図によると、3地点とも海面水温の低下は気温より約2ヶ月遅れて記録され、3月頃に最低温度を記録している。 ※気温は気象庁観測による地上気温  図1.35 旬別平均気温(H17~H19年度)11) 図1.36 旬別海面水温(H17~H19年度)11)  平成17年度の冬期(『平成18年豪雪』)を例として、図1.37に海面水温と気温の差をグラフに表した。海面水温と気温の差は、12月中旬に最大となり、温度差は15℃近くに達している。 図1.38は、記録的な暖冬(統計開始より第1位タイ)であった平成18年度の冬の同様な図である。日本海側で記録的少雪(北陸地方で平年の9%)の冬であり、この年の海面水温と旬平均気温との差は、冬期を通して10℃程度未満である。落雷日数も平成18年度に比較して少なくなっていた。 図1.37 海面水温と気温の差(H17年度)(寒冬)11) 図1.38 海面水温と気温の差(H18年度)(暖冬) 11) 雷雲の発達と関係が深い水面からの蒸発量は、風速と海上を吹送する空気の水蒸気圧差に比例する。 また、空気中に含まれる水蒸気量(または水蒸気圧)は、気温が高いほど大きい。表1.5は、月別の海面水温と気温、水蒸気圧および水蒸気圧差を示してある。表1.5によると、海面水温と気温の差が最大となるのは1月であるが、水蒸気量の差は11月から12月にかけての初冬期が最大となる。このため、寒気の流入により風が強まった初冬期の海上では、雷雲の発達が促進される。 表1.5 海面水温と気温と飽和水蒸気圧の月別値 11) 1.3.5 冬季雷の発雷条件 雷の発生は、対流雲の成長とともに、雲内の電荷分離機構を考慮する必要がある。雲内の電荷分離機構は、-10℃高度の重要性などが指摘されている。下記に挙げたⅠ~Ⅵは、道本(2004)により示された発雷条件である。14) Ⅰ対流雲のレーダーエコー頂気温が-20℃以下になると雷放電が観測されるようになる。 Ⅱ対流雲のレーダーエコー頂気温が-20℃に達しない場合には、雷放電を伴わない。つまり、雷雲にはならない。 Ⅲ対流雲のレーダーエコーが、-20℃を超えて発達し、しかもそのときの大気成層において、-10℃高度が、およそ1.8km以上であれば、その対流雲は活発な雷放電を伴う雷雲となる。 Ⅳ対流雲のレーダーエコー頂が-20℃を超えて発達し、そのときの大気成層において、-10℃高度がおよそ1.8kmに達していない場合には、対流雲は非発雷のものとなるか、または、一発雷となる非常に弱い雷放電を伴う雷雲となるか、どちらかである。そしてこれら両者の対流雲や雷雲は、混在して存在する。 Ⅴ地上気温が+3℃以上で、かつ-10℃高度が1.8km以上の時は、常に比較的強い雷放電が起こる。 Ⅵ地上気温が+3℃以下で、かつ、-10℃高度が、1.8km付近、もしくは、それ以下のときは、比較的強い雷、一発雷、非発雷のそれぞれの現象が混在して起こる。 図1.39の判定図は、対流雲が雷雲になるかどうか、雷雲の雷放電活動度の強弱を判断することができる。ただし、図1.39の(A)の領域にあるように高度1.8km以下の低層で、-20℃以下の低温となる場合は、非発雷の対流雲と、一発雷をもたらす雷雲が混在し、厳冬期の発雷予測や、落雷の有無を予測するための障壁になっている。  近年は、暖冬傾向であることから、海面水温が上昇するため、冬季に強い寒波が流入すると、表面水温と気温の差が大きくなり、盛んな蒸発が生じ、対流雲が急激に発達するようである。これが日本海側の冬季雷の増加の一因となっていると考えられる。 図1.39 対流雲が雷雲になるかどうかの判定図 14) 1.4 雷害 1.4.1 落雷被害の概要 落雷が建築物等に直撃した場合、電流の大部分が構造物を通過するので、最も大きな被害を生ずる。被害としては機械的破壊、火災、電気工作物の絶縁破壊が発生する。人体、家畜の死亡も発生し、落雷した際に死亡する確率は74%に達する。 17) 1.4.2 人体への被害  日本における落雷による死者、行方不明者は、警察白書(1996~2005年)のデータによると、1年間平均で3.5人(1~6人/年)である。 落雷による死者は、1960年代に年間50人を超える年もあったことを考えると、雷に対する意識が浸透してきている。落雷による主な死因は、呼吸停止と心拍停止である。17) 近年、雷による大惨事は、2005年4月21日に中国重慶市で死者19名、負傷者13名を出した。  人体への落雷は、雷電流が体内に流れ込む型(死亡率が高い)と、電流の殆どが人体表面を通って地面に流れる型(直撃雷の生存者の大多数)がある。また、落雷は意識喪失や体の痺れを引き起こし、転落死あるいは溺死することも多い。その他、海面に落雷した場合、落雷位置の約20m以内にいた人が、死亡、あるいは重体になることも多い。  風力発電設備では、ブレードへの直撃雷による爆裂・炸裂の被害が増えているが、これまで人的被害がなかったのは、幸いである。 【コラム】 航空機の被雷 航空機は、雷雲中または雷雲の近くを飛行中に雷撃を受け被雷する。航空機への雷撃は下記のとおりである。 (1)雲中雷撃(雷雲中及び雷雲間の雷撃) 雲中雷撃は、高度約1kmから存在し、高度とともに被害が増加する。雲中雷撃の高度は4~5kmがピークで通常高度6~7kmが上限となる。 (2)対地雷撃(雷雲と大地間の雷撃) 対地雷撃は、高度約3km以下が殆どであり、3km以上の高度では急激に減少している。 図C1に日本における航空機の高度別被雷頻度を示している。図より全被雷件数は約92%が被雷高度5km以下であることがわかる。ジェット機は運行高度が10km付近であるが、プロペラ機は運航高度が3km付近であり雷雲の最も活発な高度である。そのため、ジェット機に比べプロペラ機の被雷率が高くなる。 図C1 日本における航空機の高度別被雷分布 18) 図C2は、航空機が被雷した時の外気温度と被雷率の関係を表している。この図より、航空機の被雷は、-10℃から+10℃の外気温で発生し、被雷率が最大となる外気温度は0℃付近にあることがわかる。 図C2 日本における航空機被雷時の外気温度と被雷占有率 18) 航空機は、飛行中に空気との摩擦やアラレなどが衝突することにより静電気が生ずる。航空機の機体表面には、静電気が溜まり、航空機搭載無線機の雑音にもなる。そのため、静電気を取り除くためのスタティックディスチャージャーと呼ぶ、ピン状の放電装置が翼に取付けられている(図C3)。この放電装置は、航空機が被雷した場合に機体表面を流れた電流を大気中へ放電させる機能も持っている。 図C3 スタティックディスチャージャーの例

事業内容

海洋工事から宇宙開発支援まで気象・海象予報

  • icon1気象予報

    河川や道路の管理、ロケットの打上げから各種イベントまで幅広い分野でご利用いただいています。当社予報センターからの情報提供や、気象予報士を現地に派遣し、気象観測、予報の発表・解説、急変する気象現象の監視を行います。

  • icon2海象予報

    全国の港湾、遠隔離島、船舶航路、台風常襲海域等での各種海洋工事をサポートしています。当社予報センターからの情報提供と、気象予報士を現地や船上に派遣し、気象観測、予報の発表・解説、急変する気象・海象現象の監視を行います。

  • icon3気象情報提供

    降水量の分布図、数値予報データの時系列図など、さまざまな気象情報をご要望に合わせた形式で提供します。そのままホームページに貼り付ければ本格的気象情報サイトが簡単にできあがります。

  • icon4気象データ配信・販売

    日射量、降雪、地吹雪、路面温度など、さまざまな気象現象を対象に、任意の地点における高精度の気象予測モデルを開発し、独自のデータを配信します。気象庁配信の各種予報データおよび過去データをご指定のフォーマットに変換し、販売・ネットワーク配信します。

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    創業以来、宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センターから打ち上げられるロケットについて、整備期間および打上げ時の気象予報を担当しています。ロケット打ち上げに要求される高精度な気象予報を提供しています。

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© 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

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局地現象をとらえる気象観測と調査

  • icon6自然エネルギー

    太陽光発電、大小風力発電など、自然エネルギー全般の導入について、基礎調査からシステム設計までの幅広い業務で20余年の経験を有しています。調査結果から正確な発電量を予測し、最適な導入プランをご提案します。

  • icon7農業

    農耕地における気候、微気象の成り立ちを大小規模の現地観測で解明、耕地・施設環境の改善・調節方法について農業気象の専門家がアドバイスします。

  • icon8濃霧

    ライブ・カメラ画像や視程計による現地観測で、霧の特性を立体的に把握します。高速道路での濃霧対策に定評があり、安全対策設備の検討・提案も行います。高速道路への自動昇降式防霧ネットの設計・導入の実績があります。

  • icon9道路

    供用前供用後の道路において、長期間の定点気象観測や、車載観測機器による移動気象観測を行います。道路気象の分野での実績を活かし、長年の経験により培われた的確で効率的な調査方法をご提案します。

  • icon10構造物

    トンネルやビル、橋梁周辺の特殊な気象環境を調査します。気温・湿度・風の観測に加えて構造物表面の湿り具合など特殊な要求にも対応します。

  • icon11地吹雪

    視程計、ライブ・カメラ画像を用いた地吹雪の観測を行います。定点観測、移動観測のデータを分析し、最適な視程障害対策を提案します。また地吹雪を防ぎながら発電する「風車利用型防風防雪柵」の特許を有しています(特許第4191650号)。

  • icon12雪崩

    現地調査と航空調査により雪崩危険斜面の危険度判定を行います。また、シミュレーションの結果から最適な対策を提案します。

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    ロケット打上げ時や人工降雨実験時に航空機を用いた気象観測を行います。降雨現象・雲内視程・雲観測などについて豊富な経験を有しています。

最先端を見やすく解りやすく気象解析・シミュレーション

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    対象地域の局地風や盆地などの冷気滞留の様子を3次元気象シミュレーションで詳細に再現します。局地現象の分析に役立ちます。

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企業情報

株式会社応用気象エンジニアリングApplied Meteorological Engineering Consulting Services Co.,Ltd
所在地
東京都豊島区駒込2-3-1 六興ビル
電話
03-5394-2831
FAX
03-5394-2835
代表
安木 啓
設立
1976年10月
1976年 [昭和51年]10月 東京都台東区に設立[資本金560万]
1976年 [昭和51年]10月 業務開始
1976年 [昭和51年]10月 種子島宇宙センター気象業務開始
1976年 [昭和51年]12月 気象庁長官予報業務許可「第17号」取得
1977年 [昭和52年] 9月 海外派遣現地予報業務開始
1978年 [昭和53年] 4月 業務拡大に伴い資本金を増資[資本金1,120万円]
1979年 [昭和54年] 4月 種子島出張所開設
1984年 [昭和59年]11月 業務拡大に伴い資本金を増資[資本金2,000万円]
1991年 [平成3年] 12月 台東区から本社現事務所に移転
1992年 [平成4年] 9月 札幌事務所開設
1994年 [平成6年] 10月 建設コンサルタント登録
1996年 [平成8年] 4月 名古屋事務所開設
1998年 [平成10年] 9月 北陸事務所開設
2008年 [平成20年] 3月 建設コンサルタント登録「建20第9083号」
沿革
資本金
2,000万円
事業内容
気象・海象予報
気象観測・調査・解析・設計
気象情報システム構築
気象データ販売
事業所等
本社予報センター
札幌事務所
北陸事務所
名古屋営業所
種子島事務所
許認可
気象庁長官予報業務許可第17-5号
建設コンサルタント登録建05第9083号
創造技術への挑戦

世界経済は人口の増加や産業の進展など人間活動の多様化と高度化に伴い急速な成長を遂げてきました。この世界経済の進展は、膨大な量のエネルギー消費によって成立し、このエネルギーの大量消費の影響によって地球環境の問題がクローズアップされてきております。
 人間の社会・経済活動による地球環境の課題は、人為的な環境汚染、破壊による公害現象と、その広域化に伴って地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、熱帯雨林の減少、砂漠化、海洋汚染等さまざまな形で現れてきております。私達の生活は、自然環境を保全し地球環境に順応して進展させる必要があり、人類が地球上で生活し、さらに繁栄することを考えるならば、地球環境の管理は、人類が英知を結集して取り組むべき課題として提起されます。
 一方において、今日、人間を含む動植物への重大な影響が懸念される気候変動の問題があります。ここ数十年の気候の変動は、自然環境における気象災害の形態まで変化させつつあります。このような背景のもとで、我々は、気象、海象、雪氷、水文等の諸現象の把握、さらには国土開発、交通網整備、宇宙開発、エネルギー開発等への工学的、科学的分野における結びつきを究明してきました。
 我々は、自然との対話を図りながら、多様化する先端技術に対する科学技術上の支援を行うことにより、各分野へのご要望に応え、社会育成に貢献することが使命と考えております。

株式会社応用気象エンジニアリング
代表取締役社長 安木 啓

アクセス

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東京メトロ南北線 駒込駅4、5番出口より徒歩1分

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